一昔前と比べ現在では、流通技術の飛躍的な発達によって、都心部などでは国内外問わず良い食材が簡単に入手できるようになりました。この流通の進化は大変喜ばしいことです。
しかし、本当に良い食材というものは大量には生産できません。
生産量が少なく、なかなか良い食材とは出会うのも難しく、ましてや出会えたとしても手に入るかどうかは分からないのも現状です。しかし、料理人である以上、良い食材への探究心・好奇心を忘れてはいけません。良い食材と出会うことは、私たち料理人にとって、新しい料理への創造力をかきたてられるものだからです。
私は、料理において必要なことは「食材の選定」「味のバランス」「適切な火入れ」大きくはこの３要素で左右されると思います。
味のバランスや適切な火入れに関しては、好みであったり経験によって培われるものですが、食材の選定においては選定する前に良い食材や良い生産者に出会うことから始まります。
この部分を特に大切にし、「この段階から料理（仕込み）が始まっているのだと」そういった両者（料理人と生産者）の思いを一皿に込めその時々の空間をお客様に楽しんでいただければと思います。